- 四国八十八ヶ所の霊所めぐりに旅立った真海。瀬戸内海を航行中、壮士・山南鉄太郎の人柄に接してその男ぶりに惹かれる。真海は途中、道を誤り断崖に囲まれた漁村に迷い込んでしまう。遠洋漁業に生活の糧を求めるこの村は男たちが皆遠い外国へ出ているため、女ばかりであった。真海は一夜の宿を未亡人・おみねの家に得ることになった。朝、血政社…
- 花田秀次郎は、七年ぶりに出所して浅草に帰ってきた。浅草は、皆川一家と東雲一家が争っていた。秀次郎は、義兄弟の風間重吉が代貸を勤めている東雲一家に草鞋を脱ぐ。秀次郎は重吉から、かつて愛し合った芸者の雅代が皆川の後妻になったと聞く。重吉は何か心配そうだった。親分の下河原重蔵が、大陸浪人の山村にそそのかされて皆川一家の縄張り…
- 復興途上の頃の沖縄。戦災で亡くなった両親の後を継ぎ運送会社を経営する与那嶺ゆりは、母親の郷里新城村落の悲惨な状況を知り立て直そうとする。しかし、悪らつな岩松組は村落にあるスクラップに目をつけて妨害を仕掛けてくる。東京でイザコザをおこして沖縄にやってきたやくざ・中上鉄は岩松組の客分として迎えられるが、岩松組の卑劣なやり口…